2016.10.25

娘のアクセサリーを見ていて思い出したことがある。

彼女がまだ幼稚園に上がる前の事だから、2~3歳だったか?
ジュエリー店の広告を見て、これがきれいだからほしい。買ってちょうだい。と。
ブローチだったか、ペンダントだったか、大きなルビーが使ってあるものだった。

赤くてきれい。ほしいな。・・・無邪気にそう思ったらしい。

どう返事しようかと、ちょっと考えた。
私の教育方針として、子供にマイナスな言葉は使わない。というのがある。
例えば、何かいけないことをしている時には、「ダメ!」ではなく、「こうした方がいいよ」という感じに極力もっていきたい。

さて、宝石は子どものおもちゃではなく、大人が身につけるモノ。それをどう言ってやったら良いだろう?
とりあえずこう言ってみた。

ごめんね。これはすごく高いものだから、母さんには買えない。じいちゃんに言ってごらん?

・・・後から考えればずいぶんズルい逃げ方だ。

そばでそのやりとりを聞いていた義父(と書いてチチと読む)。
今度は自分に向けて同じおねだりをしてきた孫に、素晴らしい返事をしてくれた!!(笑)

さて、あなたなら、なんと言う?

ウチの義父は、こう言った!!

「おお、ええよ。買うちゃろう。
大きゅうなって、お嫁さんに行く時に、じいちゃんがもしまだ生きとったら、好きなのを買うちゃろう。
それまでにどんなのがええか、よーう考えて決めときんさい。」

「わーーい!」娘は、文字通り踊り上がって喜んだ。
両手を万歳して、ピョンピョン飛び上がって。

そしてそれきり、宝石を欲しいとは、言わなくなった。

何が素晴らしいかって、まず最初に「よし、買ってやろう。」と、肯定してくれたところ。
そして、これは大人の物なのだと、やんわり教えてくれたところ。
彼女は傷つくことなく、これは自分のものではないと、悟った。
そして、遠い未来に買ってもらえるのだと、満足した。

あれから4~5年のうちに義父は亡くなった。
あの約束は「もし生きとったら」だから、決してウソをついたわけでもない。

私は別に、子どもの教育方針について義父と話し合ったことなどないが、そばで見ていて私の気持ちをよく理解し、協力してくれていたな~。
と、今頃になってその思いやりに感謝する。

当時はどうでもいいような小さな行き違いでイライラし、険悪な時期もあった。
でも、何てありがたいお父さんだったかと、今頃になってありがたい事柄を思い出し、感謝の念がふつふつと湧いてくる。

こうしてタイピングしていると涙まで出てくる。

へへ、お父さん、あっちの世界から見て、笑ってるかな?