2016.09.08

「着つけの仕事をしていて良かった。」
と思うのは、葬儀の時がやっぱり多い。
人生の節目に関わらせてもらえて、悲しみの場でも、少しでも喜んで頂く手助けができるなら、これほど嬉しいことはない。

「みんなから、『倒れちゃいけんから着るな、着るな。』言われたんじゃけどね・・・。
でもやっぱりお父さん(ご主人)の葬式じゃけえ、着物を着たかったんよ。」
看病疲れをご家族が心配しての言葉だろう。
でも、ご本人はお茶をやっておられて着物はよく着られていたという。
いつも娘さんたちに着せるのも、その方だったという。
どうしても着たくて、今朝になって急きょ着物を出して着たと。

そして私が娘さんにお着せしていたのを横で見られて、
「お手並み拝見と思って見よったんじゃけど、あなた、うまい!!帯をやってちょうだい。」
結局、娘さんお二人と喪主の方の帯(そしてほんのちょっとの手直しも)を。

この頃はご葬儀でも洋服で済まされる方が多い。
だけど慣れている方なればなおさら、「着たい」思いが強かったんだろうな。

「ああ、これはラク!こんなの初めて。」
「すごくキレイ。キチンとしてる。」

親子で口々に言ってくださる。
もちろんお世辞もだいぶ上乗せされてると分かっちゃいるけど、やっぱりそう言われると、嬉しい。

「思いきって着物にして良かった。」
更に、
「あなたの連絡先を教えて下さい。」

!!・・よく言われるけど、何より、その言葉が嬉しい。