不満につき合うのも仕事のうち

月に一回やってくる硬筆の日は、子供たちとゆっくりお話できる日でもある。
道具の出し入れの時間がないので、その分、時間がたっぷりある。

「先生、これ、どう思う?」
小学校でやった算数プリントを出してきて、見せてくれた。
どれどれと、見てみる。
「これ、ヘンじゃない?」
赤鉛筆でペケした上に青鉛筆で書き直し、青で〇をつけてあるのだが・・・。
どう見ても、最初に本人が書いたのが正解のようだ。

わけを聞いてみると、
黒板に先生が答えを書いてくれて、自分たちで〇つけをしたそうだ。
その最中、先生は何かの用事があって不在だったらしい。

「これはヘンだ」とみんなも言ったけど、先生がいなかったから聞けなかった。

休み時間に聞きたかったけど、トイレから帰ってきたらチャイムが鳴ってしまって次の授業が始まっちゃった。
もう他のみんなはプリントのことは忘れてしまって、だれも聞かなかった。
だから、みんな、ヘンだと言いながら〇つけしたけど、そのまま持って帰っちゃったという。

中身は、文章題。
掛け算するものと、足し算するものがランダムに並んでいた。
どうやら、かけるのか、足すのかを、学習させるためのプリントのようだった。

掛け算すべきところを、足し算してしまうというミスだったのだが、先生が黒板に書いた答えだというから、私も何度も読み直してみて、
「うん。やっぱりこれは、間違えみたいだね。」
という結論。

こういう時、どうしたもんかな~と、思う。

・・・ちょっと苦しいフォローをしてみた。

学校の先生だって人間じゃもん。間違えることはあるんよ。
大人になっても間違えることは誰でもある。
気づいた人が教えてあげればいい。
先生(私のこと)だって、よく間違えるじゃん。

そういえば、今月は課題を取り違えて別な手本を書くという、前代未聞の失敗をやらかしたばかりだ!!(汗)

あれはダメだ!!なんてことだ!!
・・・と、自分で自分が情けなかったです。はい。ごめんなさい。

それはさておき、こう続けた。

間違えたら、直せばいいんだよ。

間違いに気がついて、「これは間違ってるんじゃないかな?」って、ずっと気にかけてたIちゃんは、すごいよ!
えらいね~。
みんなはもう忘れちゃってたんでしょ?
これはおかしいんじゃないかな?って、考えてたのは、すごいよね?

みたいな感じで。

その子は、先生が間違えたせいで自分のプリントにペケがついちゃったということを不服に思っていたらしい。
だからほめてもらえて、ちょっとスッキリできた様子だった。

学校であったイヤなこと、先生への不満。
いろんなことを吐き出していく子供たち。
その受け皿になっているなら、それはそれで、私は嬉しい。

そんなやり取りができるから、硬筆の日は好きだな。
子供たちのモヤモヤをやわらげることができたなら、それでよかった。

小学生って、いろんなことを考えている。
すごく鋭い視点で、ドキッとすることもある。

相手が子供だからと、あなどるなかれ。
子供相手のお仕事は、なかなか・・・。なのです。

あれ?もしかして、よそでは、「習字の先生なんかねー、あーでねー、こうでねー。」
なんていう不満も、・・・言ってるかも?(笑)

だったら、ごめんね。m(__)m