2017.06.24

「先生は、どうして赤い墨で上から書かないの?」
と、生徒から聞かれたことがある。

「どうやらよその習字教室の先生は、自分たちが書いた字の悪いところを上から朱墨で添削してくれるらしい。なのに、ウチの先生はそんなことしない。この違いは何なのか??」
と、思ったらしい。(笑)

子供のやる気って、いつとぎれるか予測不能だ。
あんなに頑張っていても、ぷつっと糸が切れたみたいにできなくなっちゃう時がある。
かと思えば、同じ子でも、いつまでたっても頑張り続けられる時もある。
この差はいったいなんなんだろう??
・・・と、わけわからないのが、子供の面白さだったりするわけ。(笑)

習字を教えていて、ふつうは子供の字の上に朱墨で添削をされる先生が多い。
だけど、・・・それって私には、とってもこわい。
次に書く字が前に書いた字より上手に書ける保証はどこかにある?・・・どこにもない。

その上、自分の字の上に赤く書き換えられたら、子供はどんな気がするだろう??
私自身が小学生だったころ、先生が朱墨でよく添削してくださった。
どうやって書いたらこういう風に書けるのか、実演してくださるのだから、上手に書けるようになるハズ。・・・と、思うでしょ?
ところがどっこい。子供の心にはそれがどう映るか。
「ああ、これはダメなヤツだったんだな?」
と、思うだけ。そして、

「自分の字の上に書き換えてくださった赤い字を見て反復練習しよう!!」
・・・なんていう素晴らしい発想のお子さんも、どこかにはいらっしゃるのかもしれないけれど、私自身はそんな子じゃなかった。(苦笑)

ウチに来る子たちも、そんな殊勝な考えのお子さんはあまり見当たらないな~。(笑)
きっと、みんなもそうじゃないかな?って、思っちゃう。
だからそれよりは、子供が書いた字は全部汚さないようにのけておいて、別の紙に書いて教える。

「ここのところは、こうだよ。」と、そこだけを別の紙に書いて見せる。
「ほら、〇ちゃんのはどうなってる?それに比べて、先生のはどう?」
と、違いに気づかせる。
違いに気づいたら子供たちはそこを頑張って書く努力をするようになるみたいだ。

子供たちが書いたものは全部作品だ!!

どれもみんな努力の結晶。だから、その日一番の作品を選ぶ前に、センセイ自らが汚してしまうようなことは、・・・私にはできない。

だって、それって、子供のやったことを否定することになるんじゃない?

それよりは、「こうやったほうがいいよ。」って、伝えるだけのほうが好きだな?

・・・だから私は、添削しない。